吉田さらさの「明日がちょっと幸せになる お地蔵さまのことば」

寺と神社の旅研究家吉田さらさが10年間の旅を通して撮りためた石仏、石の神様像の写真を、お言葉ともにお届けします。

年をとっても悟れるとは限らない

 

けっこう長く生きてきたもんだと思ったら、
あとちょっとで「お年寄り」である。
お年寄りは長く生きてきた分知恵があると
言われるけれど、わたしに限って言えば、
そんなことはまったくない。
「畳を拭く時は米のとぎ汁を使うとよい」とか
「頭が痛いときは梅干しをコメカミに貼る」なんて、
全然知らないから、世間様のお役には立たない。

 

もっとまずいのは、
このような年齢になっても悟りを得ていないってことだ。
どうやったらもう一旗上げられるかばかり考えているし、
言いたかないけど、他人がうまくやっているのを見ると、
「くそっ」と思う。
要するに、いまだ「自分軸」が確立されていないってことだね。

 

人間、ある程度の年になったら、自然に
恵比寿さんのように
「鯛さえ釣れていればゴキゲン」の状態になるもんだと思っていたが、
実際に「ある程度の年」になってみたら、
そう簡単な話でもないとわかってきた。
凡人には、悟りの道はまだまだ遠いのであるが、
一生悟らなくても、ま、いいかと思う今日このごろ。

 

東京都港区金地院 恵比寿さん
東京タワーの真向かいにある、きわめて昭和的な雰囲気のお寺。まるで、鄙びた山寺のような風情です、このような場所にあって、バブルも何もどこ吹く風と見送ってきた結果、このような形で今も残っているのでしょう。いつの時代も世間に流されず、自分軸をしっかり守っているお寺なんですね。その境内の片隅で、この恵比寿さんを発見。小さな小さな像で、祀られているというよりも「空き瓶と一緒に置いてある」という感じ。でも、何もかもを飲みこんでしまうようなこの笑顔。これまでいくつもの恵比寿さんの像を見てきましたが、これが最高傑作と言えましょう。

 

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