吉田さらさの「明日がちょっと幸せになる お地蔵さまのことば」

寺と神社の旅研究家吉田さらさが10年間の旅を通して撮りためた石仏、石の神様像の写真を、お言葉ともにお届けします。

当たるのは100のうち1と心得よ

 

息子よ、おまえはまだ子供だが、...
本物の人生を始める前に、
教えておきたいことがある。
それはな、釣りに行っても、
必ずしも、毎回、魚が手に入るってわけではないということだ。

いやむしろ、一匹の小魚も捕れない時だって
けっこうある。
そんなことが続くと、
釣りに行くこと自体が間違いなのではないかと
疑いたくもなるが、そこは我慢。

この土地には、「大漁は、忘れたころにやってくる」
という言い伝えがある。
だから、焦らずのんびりやればいいのだが、
かと言って、本当に「大漁」という言葉を忘れてしまってはダメだ。
いつか必ずそれが起きると信じて、毎日、海に出る。
それが肝心。

熊本県天草市天草町 恵比寿さん親子
天草は天草四郎の出身地。そのため、キリスト教と結び付けられがちですが、実は、現在の天草のカトリック教徒は人口の1%前後。それに関してはさまざまな歴史的背景がありますが、その件は、この夏書く予定の単行本を読んでいただくとして、ここでは、天草の海辺には、恵比寿さんの像が祀られていることが多いという事実に着目したいと思います。

恵比寿さんがどのような神であるかについては諸説ありますが、よく知られているのは、イザナギイザナミの最初の子供で、足が不自由であったために海に流された。それが兵庫県西宮に漂着し、海の向こうからやってきた福の神として祀られるようになったという説です。

釣り棹と鯛を持った姿が一般的で、漁師の神としても信仰されます。天草でも恵比寿信仰は盛んで、海辺には、集落ごとに恵比寿さんの祠があります。天草には、こんな面白い伝説も。

「ある漁師が大漁を願って恵比寿さんにお参りしたところ、『お参りに来ている暇があったら漁に出なさい。その方が大漁のチャンスははるかに多い』と叱られましたとさ」

なるほど深いですね。神頼みをする前に、自分で道を切り開く努力をいたしましょう!

 

♡単行本版「明日がちょっと幸せになるお地蔵さまのことば」もよろしく

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