自分の信じる方が常に「前」である
わたしたちの目の前に広がる、...
この茫洋たる海。
魚も鳥も、そして海流も船も、
何もかもが前に向かって進んでいる。
だが、それぞれの行く方向は違っている。
この世に百の動くものがあるなら、百の「前」があるのだ。
たくさんのものに押し戻されたり、流されたりして、
なかなか前には進めない。
あまりにも困難な時は
「自分の思う『前』は本当に『前』なのか」と苦しい気持ちにもなる。
それでも、わたしたちは
前を目指して進まなければいけない。
進まなければ死んでいるのも同然。
人間は、そのように運命付けられた動物なのだから。
長崎県南島原市原城跡
フランシスコ・サビエル(左)、天草四郎(中)、天草四郎の姉(右)
島原の乱は、日本史の中でも、特別な意味を持った出来事です。キリシタンたちが蜂起したことから宗教戦争の一種と考えられがちですが、本来は、重税と悪政にあえぐ農民たちによる一揆という性質が強いようです。ともかくここでは、天草四郎を神と信じて闘ったすべての人たちが殺されたのでした。
この三体の像は、天草四郎の生誕の地である上天草の方を向いています。写真には写っていませんが、三人の目には、天草と島原の中間にあり、双方の住民が一揆の相談を行ったとされる湯島(談合島)も見えているはずです。ちなみにこの像は、いつの間にかこの場所に立てられていたのだそうで、誰が作ったものかはわからないようです。
ザビエルさんは、自分が最高だと信じるキリストの教えを異国に伝えるという信念のもと、日本にやってきました。そしてそれを受け入れた人々は、最終的には、ここで無残な死を迎えました。しかし、それから380年ほどが経過した今、ここは世界遺産に登録されようとしています。歴史は、その時々で一番強い者が「前」と信じた方向に向かって進んで行きますが、長い目で見ると、その方向が間違っていたと言われる時もやってきます。だから、周囲の人々とは違う方向であっても、常に、自分が「こっちが前だ」と思う方向に進むべきだと思います。
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