春、桜の下にまた生まれん
このお地蔵さんの中には
もうこの世にはいない子供もいます。
でも、だからって、いつまでも、魂がここにあるとは思わないで。
子供たちは、もう次の人生をはじめています。
そして、その人生で、新しい何かに挑戦しているかも知れません。
でも、その子たちは、自分が死というものを
すでに何度も経験していることを忘れていますから、
何かに失敗したり、困難なことが続いたりすると、
こんなふうに思うかも知れません。
「こんなに生きて行くことが辛いなら、
いっそ死んでしまった方がましだ」
皆がいつかは死ぬのだから、
ある意味、死ぬのはとても簡単です。
でも、そんなに「死の世界」がいいところならば、
なぜ、皆が、新たな人生をはじめようとするのでしょう。
それはやっぱり、人間が、困難と闘うことに意義を見いだす動物だから。
闘いですから、勝つ時も負ける時もあるでしょう。
でも、勝っても負けても、誰にでも平等に春は来ます。
ああ、桜がこんなにも美しいから、
子供たちは、何度でも生まれ変わって、
この世に来たがるのだなぁ。
東京都港区芝 増上寺 千体地蔵
ここには、生まれた子供の無事な成長を祈って祀られたお地蔵さんと、この世に生まれて来ることができなかった小さな赤ちゃんの供養のために祀られたお地蔵さんの二種類があります。どのお地蔵さんも、現代的なお人形のようなお顔なので、そんなに古いものじゃないとわかりますが、それでも、かなり風化しているものも見受けられます。生まれなかった赤ちゃんの魂は、今頃、どこか別の世界で素敵な人生を歩んでいるのかも知れないし、この世に生まれてきた赤ちゃんは、もう中高年になっているのかも知れない。それぞれの人生に幸あれと、毎年桜が咲き誇ります。
♡単行本版「明日がちょっと幸せになるお地蔵さまの言葉」
おかげさまで3刷りになりました。ご声援、ありがとうございました。
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