吉田さらさの「明日がちょっと幸せになる お地蔵さまのことば」

寺と神社の旅研究家吉田さらさが10年間の旅を通して撮りためた石仏、石の神様像の写真を、お言葉ともにお届けします。

いつでも飛び立つ準備をしておく

なあ、俺たち、いつからここに座っていたっけなぁ。
あんまり同じような日が続いていたから、すっかり忘れてしまったよ。...

だよなぁ、でも、今年こそ俺は、ここを出て行くんだ。

なるほど、それでおめえ、そんなパリッとしたかっこうをしているんだな。
だがな、おめえは、毎年この時期になると、
いつでも、出て行く、出て行くといきまくけれど、
本当に出て行ったためしがねえんだよ。

今度こそ本当さ。
見てなよ、俺はここから出て行って、
あんたがあっと驚くような大成功を手に入れるんだから。

宮崎県えびの市 田の神さぁ
ひとくちに「田の神さぁ」と言ってもけっこう個体差が大きく、右側が基本的な「農民型」の田の神さぁ。左側は、着物を着ているので「神官型」にも似ているけれど、しゃもじを持つのは農民型の要素、しかも、米俵に乗っているように見えます。田の神さぁは、地域住民が好きなように色を塗ったり顔を描いたりしてよいという決まりがあるのだけれど、なぜ左側だけがカラフルで、右側は、加工されないのか。

いろいろと謎の多い田の神さぁコンビですが、わたしには、何だかこの二人が、人生についてのきわめて重要な会話をしているような気がするのです。いい加減、夢を追うのはやめて地に足をつけて生きる方がいいと思う右側の田の神さぁと、いつまでたっても、いつか自分は飛び立てると思い続ける左側の田の神さぁ。わたしは断然左派。いくつになっても、「ここでないどこか」に行って「今とは違う自分になりたい」と夢見続けています。もういい加減諦めろよ、という声も時々聞こえてきますが、なぜかわたしは、懲りないんだなぁ。

♡こちらもよろしく。
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