吉田さらさの「明日がちょっと幸せになる お地蔵さまのことば」

寺と神社の旅研究家吉田さらさが10年間の旅を通して撮りためた石仏、石の神様像の写真を、お言葉ともにお届けします。

動かないことにも意味がある

昔々、ふいに壁に押し込められて
身動きができなくなった。...
自分がこのまま岩になってしまうんじゃないかと
絶望する日々だった。

けれど、ある時沖を行く船から、
「いつもその岩壁にいる君の顔を見つけると、もう港が近いと安心できるんだ」
と言われて気がついた。

「動くこと」に憧れ続けてきたけれど、
「動かないこと」にも、たいへんな価値があるということに。
ここにいて水平線を眺め続けていれば、
自分だって、世界の一部として、ちゃんと機能できるんだ。

秋田県遊佐町の海の十六羅漢のうち一体
ここは日本海に面した夕日のきれいな荒磯。波に洗われ続ける岩壁のそこここに、不思議な顔がある。近づいてみても、自然のものなのか人工物なのか、判別が難しい。これは、江戸時代末期に、海で命を失った漁師の供養と海上交通の安全を願うために彫られた羅漢像です。十六人の羅漢さんやお釈迦様とその弟子などを合わせて全部で二十二体。かなり磨耗が進んでいるので、いくら探し回っても、全部は見つけられませんでした。

※お知らせ!
「明日がちょっと幸せになる お地蔵さまのことば」が、ダビンチニュースに取り上げられました! 本の中で使っている何枚もの写真と「ことば」について解説とご感想をいただいています。ぜひ合わせてごらんください。

http://ddnavi.com/news/218536/

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